ハロウィンの落とし物の分析と妄想

matsuzawa

  • 2017/11/16

おちもん

 

 

 

2017年10月31日。ハロウィンの渋谷。

平日夜にもかかわらず、今年も渋谷は大賑わいだった。

特にセンター街周辺の人口密度は異常なほど。通りのすべてが満員電車のようで、自由に動くことすらままならない。

人混みの騒々しさと、辻々で立つ警察官の注意喚起が入りまじり、興奮と緊張感が奇妙な空間を生みだしていた。

 

東京別視点ガイドというサイトで日本中の変わった観光スポットや変わったお祭りを見てまわったが、渋谷のハロウィンも一種の奇祭。

誰が旗を振るでもなく、自然にできあがった魔訶不思議なお祭りだ。

 

 

 

 

一夜明けて、11月1日の早朝6時半。

酔いつぶれた若者が道ばたでうずくまって眠り、剣を背負った勇者が青信号を待っている。

ハロウィンの残り香はまだ消えていない。

 

 

 

 

 

そんな渋谷の街なかを、デザイナーの藤田泰実(ふじたよしみ)さんと歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

真剣な面持ちで路上を見つめ、なにかを発見して写真におさめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

歩いて、見つけて、写真を撮る。

その繰り返し。

 

 

 

 

 

撮影しているのは路上の落とし物。

いわば、ゴミだ。

 

 

 

 

ベンチに転職したいベンキ #streets #落ちもん #切なる願い

pick ups on the streetさん(@fujitayoshimi)がシェアした投稿 - 2017 9月 4 7:37午後 PDT

 

落ちてるシリーズ Oh!!shit! アメリカンショック(ドッグ)!

pick ups on the streetさん(@fujitayoshimi)がシェアした投稿 - 2017 4月 1 6:48午後 PDT

 

落ちてるシリーズ この道初心者 気をつけなはれや

pick ups on the streetさん(@fujitayoshimi)がシェアした投稿 - 2016 8月 23 6:39午前 PDT

 

新宿駅埼京線の階段

pick ups on the streetさん(@fujitayoshimi)がシェアした投稿 - 2016 7月 18 5:09午後 PDT

 

デザイナーの藤田さんは、路上に落ちている物を『落ちもん』と名づけ、ポケモン感覚で3年間撮りつづけている。

 

「物として珍しいもの、地面とのコントラストで美しいもの、土地のバックグラウンドがにじみ出てるもの、落とした人の人間性がかいまみえるもの。そんな落ちもんが撮れると嬉しい。

かっこよく構図を決めない、ひっくり返したりもしない。ゴミをどかしたりせず、そのまま丸ごと撮る。注目されないものを面白く撮って、快楽を見いだしています。」

と藤田さん。

 

ハロウィン翌日なら、めったに見かけぬレア落ちもんがたくさんあるのではないか。

落ちもんからハロウィンのなにかが分かるのではないか。

そんな仮説を胸に、2時間ばかり早朝の渋谷を歩いてまわった。

 

「これを落としたのはどんな人だろう、どんなシチュエーションだったんだろう。そんなことを妄想しながら撮ると面白いですよ」

アドバイスにしたがって、妄想をまじえながら落ちもんをご紹介していこう。

 

 

 

 

ハロウィンの落とし物一覧

 

・壊れた武器

 

 

 

 

 

 

 

 

あちこちで目についたのが壊れたオモチャの武器だ。

仮装の小道具だったのだろう、マシンガンに短銃、刀の鞘が落ちていた。

 

 

 

オモチャは普段道にあんまり落ちてないレア落ちもんですね。

子どもたちはオモチャを大事にしてるから、愛着があって、落としても探す。

でも、今日の壊れた武器たちには愛着がないことが分かります。

 

ある瞬間から物だったものが一気にゴミになるパターンは、傘もそう。人間の勝手さがあらわれた落ちもんですね。

 

 

 

いつもはレアだけどイベントで大量出現する。

そのへんのメカニズムがポケモンGOに似てますね。

 

 

 

・テレビゲームのコントローラー

 

 

野外で見ることのない最たる物体。ゲーム機のコントローラー。

街なかで見かけるとかなりの違和感だ。

 

 

 

マリオとかゲームキャラの仮装のギミックですかね。

 

 

 

これもまた、ゲームするためのコントローラーじゃないから愛着なくて落ちもんになったパターンでしょう。

 

 

 

・木の枝にひっかかってるネクタイ

 

 

これから街頭の掃除をはじめようと準備する人たちの頭上にあった。

ジャンプしても届かない高い枝にひっかかったネクタイ。

どうしてこんな状態になったのか。

 

 

 

これ、めちゃくちゃいいですね!

よくアメリカでは、電線に靴が投げてあるんです。

「ここで麻薬を売買してるよってサイン」なんですね。

 

 

渋谷だと集まってたのは売人じゃなくて、掃除のボランティアの方々です。

 

 

 

国民性って感じですね。平和やなーって。

 

 

 

・リボンみたいなビニール袋

 

 

 

たんなるビニール袋ですけど、今日という日をかんがえるとリボンに見えますね。

 

 

 

落ちもんにすらパーティー感が溢れてます。

 

 

 

・ベビーカー

 

 

ハチ公前にあったベビーカー。

意図的に捨て去った物なのか、はたまた忘れ物なのか。

 

 

 

まさかベビーカーを忘れるわけないから、捨てたんじゃないですかね。

ここに人形でも乗ってたのかな。仮装の小道具だったんでしょう。

 

 

 

私は、これ忘れ物な気がしますね。

捨てられたとかではなく、子どもを背負ってそのままいっちゃった。

 

寒い時、荷物が重い時、人がたくさんいる時って思考力が落ちるじゃないですか。

子ども連れて見に来たはいいけど、あまりの人ごみに驚いて、子どもを抱えて帰った。

正常な思考が出来なくてベビーカーを忘れていったお母さんの姿が浮かびますね。

 

 

 

・クラブの5

 

 

道ばたに1枚だけ落ちていたトランプのカード。クラブの5。

 

 

 

あ、クラブの5だ!

いままでトランプ3枚撮ったことあるんですけど、全部クラブの5なんですよ!

どういう理由か分からないけど、クラブの5が落ちがちなんです。

 

 

 

・粉々のぽたぽた焼き

 

 

 

これじゃあ、おばあちゃんのこなごな焼きだ。

渋谷なのにお菓子チョイスとしてかなり渋いですね。

 

 

ホッカイロみたい。ほぐして、これで暖をとったのかな。

 

 

 

・フリーハグの看板

 

 

 

看板捨ててっちゃような人だから愛が枯渇して、満たされてない感じがしますね。

この人とはフリーハグしたくないですね(笑)

 

 

 

・ちっちゃな鍵

 

 

駐車場の隅っこに落ちてたちっちゃな鍵。

手錠の鍵かな。

 

 

 

めっちゃいいですね。物語感じません?

不思議な国のアリスならぬ「渋谷の国のポリス」って感じです。

1つはスペアキーなのに一緒に落としてちゃ、意味ないじゃん。

スペアキーなんていらないぞって豪快な人かもしれませんね。

 

 

 

・血まみれの目玉

 

 

駅前に血まみれの目玉が落ちていた。

 

 

 

 

 

撮影していたら、後ろから金の全身タイツを着た男性がやってきて「あ、本物の目玉だ!羨ましい!」と言って拾っていった。

酔っぱらいだと思って、見て見ぬふりをしたのだが……

 

 

 

 

 

町をうろうろしていたら、再会した。

 

 

 

 

 

話しをしてみると「孤高のスーパーコメディアン」として活動する大西健介さん。

舞台の小道具に使うので目玉を拾ったそうだ。ぜんぜん酔っていなかった。

落ちもんが、こうしてまた、誰かの大切なものになるパターンもあるんだなあ。

 

 

 

 

同じメガネでも、河川敷に落ちてたほうがカツアゲ感があって面白い

 

 

渋谷の落ちもんをひととおり撮影して、喫茶店に腰を落ち着け、お話しをうかがった。

 

 

 

ハロウィン翌日の落ちもんはどうでしたか?良かったですか?

 

 

 

いい悪いで判断はしてないんですけど、ハロウィンの余韻や、渋谷って場所柄は強く感じました。

なにかの余韻を強く感じるときのほうが楽しいんですよね。

普通のペットボトルよりブラジャーが落ちてるほうがドキッとするじゃないですか。

同じメガネにしても、道路より河川敷に落ちてたほうが、よりカツアゲ感があって楽しい。

 

 

 

どういうきっかけで落ちもんを撮りはじめたんですか?

 

 

 

はじめて落ちもんを撮ったのは、3年前、友だちを待ってる時。

足元にお寿司についてる小さい醤油が6パック、どさって落ちてたんですね。

欲かいてこんなにもらったくせに結局全部落としてるじゃんって面白くて。

それでスイッチはいって撮り始めました。

 

 

大宮駅北口on the street #pick ups #oomiya

pick ups on the streetさん(@fujitayoshimi)がシェアした投稿 - 2016 7月 18 12:57午前 PDT

 

 

 

落ちもんから透けてみえるストーリー性や人間性が好きなんですね。

 

 

 

落ちもんを物とかゴミとして捉えてなくて、生き物と人の余韻として捉えてます。

生き物って余韻が面白くて、ドラマチックさを感じるんですよね。

落ちもんを通して、こういうことがあったんだろうなって妄想して、出会ったことない人の人生の一端に触れる。

私の人生は妄想の人生。妄想しまくり。ヤバい妄想家です。

 

 

 

 

 

 

落ちもんってやっぱり切ないんですよね。

面白いものってちょっと切なさが入ってると思うんですよ。

ものすごいハッピーな人とか悲しすぎる人より切なさのある人のほうが面白いみたいな。

 

 

 

 

たしかにそうかも。

自分も珍スポットって呼ばれる変わった観光スポットを巡ってて、いろんな館主さんたちに会いますけど、面白い人はどこか切なさや影がありますね。

 

 

 

最初に勤めたデザインプロダクションが独裁国家みたいな会社で。

年に2回しか土日休みなかった。入社していきなり3日間帰れなかったので失踪したと思われました。

 

徴兵制じゃないですけど、そこにいた1年間で喜怒哀楽壊れて、生きてればいいじゃないって。相田みつを精神ですね。

大学のころはスマートでかっこいいデザイナーになりたいって気持ちもありましたけどどうでもよくなって(笑)

そこらへんから弱いものや注目されてないもの、切ないものに気が惹かれるようになりました。

 

 

 

ハロウィン翌日の落ちもんランキング

 

藤田さんが特に気にいった落ちもんを

「構図的美しさ」「妄想的面白さ」「レア的特別感」

の観点からタイトルをつけて選んでもらった。

 

 

・構図的美しさ3選

 

 

「意気投合」

 

 

 

 

「飲み足りない手袋」

 

 

 

 

「街角ポップなコーン」

 

 

 

・妄想的面白さ3選

 

 

「渋谷のギャルの感嘆符」

 

 

ハイビスカスのかたわらに、口紅のついたタバコの吸い殻。

きっと渋谷のギャルが吸ってたんでしょうね。

 

 

 

フィルターのほうまでしっかり吸ってるから、ファッションとしての喫煙じゃなさそう。

 

 

 

 

「飛び級社会勉強」

 

 

パーティーの景品だったのかな。エロDVDが散乱してました。

 

 

 

DVDと一緒に小学生の社会の教科書も落ちてる。早い社会勉強ですね。

 

 

 

 

「落ちもんハローワーク」

 

 

ホワイトボードに「えびすマスカッツのマネージャーはじめませんか?」って書かれてる。

セクシー女優のアイドルグループですよね、恵比寿マスカッツ。

 

 

 

妄想の余地が大きい落ちもんですね。

恵比寿マスカッツのメンバーがこれ持ってたなら一番面白いですけど、おそらくマスカッツ好きの男性が性欲を満たすために女装して立ってたんじゃないかな。

 

 

 

・レア的特別感3選

 

 

「逃げ遅れたお化けたち」

 

 

 

 

「ダークナイトモーニング -家に帰った闇の騎士- 」

 

 

 

 

「一寸のムカデにも渋谷の魂」

 

 

 

朝10時、取材を終えて

 

 

 

 

仮装グッズ、酒の缶、タバコの吸い殻。驚くほど落ちもんが散乱していた渋谷。

 

 

 

 

テレビやネットでもたびたび話題になる渋谷ハロウィンのゴミ問題。これほど散らかっているとは思わなかった。

朝6時を過ぎたあたりから、掃除をはじめる人々があらわれだした。

地元商店の人たち、仮装姿のままゴミを拾うパーティー帰りっぽいグループ、ボランティアで集まった若者たち。

ある者は仕事の一環で、あるものはハロウィン文化を残すため。

それぞれ思惑は違うだろうが、みなテキパキと片づけている。

 

 

 

 

 

 

 

 

取材を終えて、朝10時。

あんなに落ちもんで溢れていた渋谷が、すっかりいつもの様子を取り戻していた。

 

 

 

◎文:観光会社「別視点」の松澤茂信

◎東京別視点ガイド(@another_tokyo)
http://www.another-tokyo.com/

 

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